水曜日, 1月 30, 2008

スウェーデンのファイル共有論議 (2)

当ブログで、スウェーデンの穏健党議員7名が1月3日のExpressen紙上でファイル共有の非犯罪化(合法化)を表明したところまで紹介した。その後も議論は続いている。メディアで「海賊穏健党員達」と表現されている穏健党内のグループは13人に増えた。1月6日にはスウェディッシュ・アカデミーのHorace Engdahl(敬称略)が、フィルム配給団体や出版社協会ら6団体の代表として、また1月10日にはErnst Brunnerが映画監督や作家ら27名の連名で著作権保護を訴えている。これに対し海賊党は、知識と文化の共有の権利、ヨーロッパ人権条約に謳われている個人生活の権利を主張し、また1月16日には、著作権所有者である70名のアーティストやクリエーター達が、「我々の名の下での共有狩りはない」と反論している。ヨーロッパではフランスなどが違法なファイル共有行為に厳しく対処しているようだが、1月29日欧州司法裁判所は、加盟各国がそれぞれの決定によってこの問題に対処すべきであると判断を下した。スウェーデンの法相を含め、対立両者がこの判決に満足しているとコメントしている。

沢山の人たちが意見を述べている中で、2つのコメントが印象に残った。一つはComputer SwedenのコラムニストOscar Swartsが、モーツアルトが若い頃、当時ローマ法王の下で門外不出にされていたアレグリ作曲のMiserereを見ただけで暗譜した例をあげて、文化共有の意義を示唆していたこと、もう一つはストックホルム大學の実践哲学教授Torbjörn Tännsjöが、「社会主義的にファイル共有せよ!」という意見をDN紙に載せていたことだ。そういえばビル・ゲイツがダボスで、「社会的資本主義」って言ってたけど、要するに皆が幸せになる道を模索してるということなのだろう。

月曜日, 1月 28, 2008

デンマークのレゴ、今日50才の誕生日


50年前の今日(1958年1月28日)はデンマークのレゴの創設者Ole Kirk Kristiansenがレゴのパテント申請をした日。Googleのロゴもレゴ風に今日変わった。

土曜日, 1月 26, 2008

北欧各国語の書籍検索


北欧各国語の書籍検索、オンラインショップ・サイトを集めてみた。
スウェーデン Adlibris, Bokus, CDON.COM, DIXIKON
ノルウェー norli.no
デンマーク B.O.Boger
フィンランド BookPlus

火曜日, 1月 22, 2008

インターネット上の企業見本市サイト


通常見本市では、展示企業が個別ブースで自社製品を紹介したり、訪問者向けの関連セミナーや講演などが会場内で開催されている。これをインターネット上のヴァーチャルな世界で実現しているのがexpoIT24だ。サイトを訪問してデモ(ホームページの左上をクリック)を見てみたら、感心してしまった!例えばヴァーチャルなセミナー会場では、講演者のビデオを見ながら、パワーポイントの資料などを同時に画面上で見ることができ、後日のコンタクト用の情報もクリック一つ。インターネット上にあるので、会場までの交通費もかからず、24時間見ることが可能だ。今のところサイトはスウェーデン語だけだが、英語サイトができるのも時間の問題ではないだろうか。

金曜日, 1月 11, 2008

スウェーデンのファイル共有論議

スウェーデンのメディアやインターネット・コミュニティー、ブログなどでファイル共有問題の白熱した議論が展開されている。2006年5月31日に、若者を中心にして人気のあったファイル共有サイトThe Pirate Bayに警察の手入れがあり、サイトが閉鎖された。前年の7月にファイル共有に関する新法が施行されていた。その後若者達が個人の楽しみでコピーする権利等を主張して組織された政党海賊党や産業界をバックにしたアンチ海賊版団体らとの間で議論が戦わされていた。閉鎖されたサイトも間もなく再開し、2006年12月に約4百万だった会員数は、現在倍の8百万に増えている。新しい技術の発展によって、これまでのような著作権料の徴収が現実的に難しくなっていることから、ブロードバンド税等の可能性も議論されていたが、スウェーデン政府(法務省)は、2007年9月「インターネット上の著作権」について記者会見を開き、その席でCecilia Renforsによる調査報告書 (Renforsutredningen) が発表された。報告書では、違法なファイル共有を行なっているサイトを閉鎖するかどうかの責任が、インターネット配信業者の判断に委ねられている。これは郵便局が手紙の内容に判断を下すようなもので、言論の自由の観点からも受け入れがたいという意見が出ていた。この時点でまた振り出しに戻った感があったが、日本でならお正月休みの2008年1月3日、穏健党議員7人がエクスプレッセン紙上に意見広告英語版も出ている)を載せ、ファイル共有は権利であるという意見を表明した。現在禁止されているファイル共有を非有罪化し、市場に適応させることが唯一の解決法であると。このあたりがスウェーデンらしいところだが、さてこれからどう展開するのだろうか?
その後の展開を読む。

日曜日, 1月 06, 2008

男女平等の代価

2008年1月4日付けDN紙のDebatt欄に興味深い記事が載せられていた。日常生活における男女平等に関する新しい研究調査によると、男女平等が必ずしも男女(夫婦)関係の利益になってはいないというものだ。大多数のスウェーデン人が平等を評価し望んでいるにもかかわらず、その変化が驚くほどゆっくりなのは、一般の人々が平等という絵に描いた美しいヴィジョンを実現しようとすると、現実的には仕事と家庭生活のバランスを崩し、不満や葛藤、ストレスを引き起こし、結果的に男女関係に離婚の危機などの悪影響を与えているからだという。政策的に平等を推進している政治家や政策決定者が平等の理想を実現するためには、支払うべき代価を持つ平等の裏面に目を向けなければ、スウェーデン人の平等政策に対する信念を失う事になると警鐘を鳴らしている。

スウェーデンはWorld Economic ForumのGender Gap Report でも世界で最も平等が推進されている国として挙げられているが、家庭と子どもへの主な責任はまだ女性が負い、男性は権利のある両親休業の1/5しか取得していないのが現実。でもこれは男女平等の意味を否定するものではない。常に一歩先を行く実験を繰り返し、理想を追い求め続けているスウェーデンの生みの苦しみのように見える。
この調査研究の結果は、「平等の代価」 "Jämställdhetens pris" と題する本として出版される予定。

土曜日, 1月 05, 2008

ロシアからの観光客

ロシアからの観光客が日本で豪華旅行を楽しんでいるという記事が去年末Asahi.comに載っていたが、北欧でもロシアからの観光客が増えている。2007年12月21日に欧州24カ国に拡大したシェンゲン協定によって入国が簡素化された事にもよるようだ。(フィンランドへ入国すれば、協定区域内では旅券の提示が不要になる)最近見かけた当地メディアでのロシア関連の記事を拾ってみた。
-スウェーデンのスキーリゾート、オーレのロシア人観光客数が昨年同時期と比べて50%増えている。
-Moraのサンタワールドへ向う途中、60人の乗客を乗せたセント・ぺテルスブルグからの観光バスが接触事故
-南ヨーロッパ(イタリヤ、スペイン)に住んでいるロシア人の投資企業が北欧取引市場OMXに上場希望している。
-スウェーデンで2007年最高値をつけた住宅を、ロシア第2の携帯オペレーターVimpelcom の社長が購入した。
などだが、ヨーロッパ各地でクリスマスとお正月休みを取って帰ってきた知人らからも、ロシア人グループを多く見かけたという話を聞いている。