水曜日, 12月 28, 2011

ヴァーサ号とリーダーシップ・マネージメント

1628年8月10日処女航海でバルト海に沈んだヴァーサ号のドキュメンタリーフィルムが、昨夜スウェーデンTVで放送されていた。2001年に雑誌の取材で、333年後に引き揚げられ展示されているヴァーサ号博物館館長のインタビューに立ち合ったことがある。その時館長から、ヴァーサ号の建造から沈没までの経過が、企業のリーダーシップ・マネージメントの例として取り上げられることがあるという話を聞いたのを思い出した。

グスタフ二世アドルフ国王の威信をかけた軍艦ヴァーサ号の建造だったが、建造中からすでに現場は構造的な欠陥によるバランスの悪さに気付いていたという。しかし数々の木彫りの彫刻で豪華に装飾された戦艦ヴァーサ号は、岸壁の多くの観衆の注目のもと、1300メートルほど処女航海した後、湾内で沈没し多くの犠牲者を出した。上司に何を報告すべきだったのか、どう行動することが正義だったのか? リーダーとして何をすべきであったのか?

責任の所在を問うその後の裁判では、結局誰も処罰の対象とならなかった。これが当時からすでにスウェーデンにデモクラシーが生きていた証拠でもあると館長は語っていた。

奇しくもこのドキュメンタリーが放送された同じ夜、前日に放映された映画「父親たちの星条旗」に引き続き「硫黄島からの手紙」が放映されていた。戦争という非常事態の中で、個人にとって取るべき正義の行動とは何か、部下を率いるリーダーの素質とは何かを考えさせられる夜になった。


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